IT運用チームやサービスデスク担当者は、日々の業務で発生する様々なIT障害に対応する中で、問題の根本原因を見極め、再発を防止することが重要です。問題管理とは、インシデントの背後にある根本的な原因を特定し、それを解決することで将来のインシデントを予防するプロセス。この記事では、問題管理の目的と必要性、ITIL®のフレームワークにおける問題管理の位置づけ、および問題管理の運用において直面する課題とその解決方法について詳しく説明しています。問題管理を適切に行うことで、システムの安定性を高め、サービス品質を向上させるための参考にしてください。
問題管理とは不都合を起こす可能性のある根本的な原因や潜在的な原因を特定し解決するプロセスを管理することで、ITIL®ではサービスマネジメントプラクティスに含まれます。
※2019年リリースの最新版ITIL® 4は一般的なマネジメントプラクティス、サービスマネジメントプラクティス、技術マネジメントプラクティスの3つのカテゴリと34のプラクティス(ITIL® 4以前はプロセス)に分けられています。
ITIL®(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスの提供・運用・改善を体系的に行うためのフレームワークです。ITサービスの品質向上や効率化を目的とし、世界中で広く採用されています。
ITILでは、インシデント管理や問題管理を整備することで、サービス停止時間を短縮し、コストやリスクを最小化することが可能です。たとえば、インシデント管理では迅速な復旧を優先し、問題管理では根本原因を特定して再発防止策を講じます。
チーム間の連携を強化し、ビジネス要件を満たすIT運用を容易に実現することもITILのメリットです。IT部門だけでなく組織全体の競争力向上にも寄与します。
柔軟性が高いITILは、各組織のニーズに合わせて適応でき、効率的なITサービス運営と継続的な改善に役立つフレームワークです。
例えばサービスデスク担当者が「プリンターが動かず会議用の資料を印刷できない」という問合せを受けたとします。サービスデスク担当者は「動いている別のプリンターで印刷してはどうか」という解決策の提案をし、動かないプリンターの修理を業者に依頼します。
この場合の問題は印刷できなかったことではなく、プリンターの故障が根本的な問題です。ITIL®では印刷できなかったことをインシデントといい、インシデントの根本的な原因を特定し解決策を見つけるプロセスを問題管理といいます。
「プリンターが動かず印刷ができない」という問題を「別のプリンターで印刷する」と提案したことはインシデント管理にあたります。一方、業者にプリンターのチェックをしてもらい修理するまでの対応は問題管理にあたり、インシデント発生と問題解決は、それぞれの対応が必要となります。
問題管理の目的はインシデントの根本原因を突き止めて、同じことが再度起きないように、問題の原因を解明し、解決策を提示し、実際に解決することです。問題管理を行うことで、問題を起こすインシデントの再発を防止し、予防が難しいインシデントの悪影響をおさえることができます。
問題管理はインシデント管理を組み合わせることで効果を発揮します。問題管理を独立したプロセスにしてしまうと、問題管理チーム内だけで解決策を講じてしまう、外部ベンダーの原因にしてしまうなど根本原因がなかなか解明されないということが起きがちです。
インシデントや問題が1つの原因から起きることはあまりありません。潜在的な原因を総合的に考慮した分析が必要となるため、問題分析とインシデント分析のメンバー間で問題が共有できるような環境を作ることも重要です。
問題管理はインシデントを引き起こす原因に対し回避策や解決策を明らかにするプロセスです。インシデントと問題の両方に対応し管理するといっても実際に実践することは簡単ではありません。ほとんどの場合、インシデントと問題管理は同時対応が必要となるからです。ヘルプデスクの現場ではExcelを利用しているケースも多いですが、複数の業務作業者やファイル共有などの問題があります。
問題管理プロセスが行えるツールを導入すれば、ITIL®に準拠した管理を実現できインシデントの緊急対応とインシデント原因を突き止めて改善する業務のワークフローが展開できるようになります。
そのため、チームは他に懸念する関連事項に集中でき、マネージャーは問題解決ソリューションを文書化できるようになります。予期できなかった問題が発生してもワークフローを使うことで根本原因を突き止め速やかにサービスを復元することができます。
問題管理ツールのメリットを最大限引き出すには、インシデント管理との連携やワークフローの標準化、情報の一元管理、ナレッジベースの活用といったポイントがあります。詳しく確認していきましょう。
問題管理ツールを活用することで、インシデント管理と問題管理を統合し、効率的な再発防止が可能になります。インシデント管理では迅速な復旧を優先し、問題管理では根本原因を特定して恒久的な対策を講じます。この連携により、発生したインシデントの詳細や対応履歴を問題管理に引き継ぎ、分析や改善策の検討をスムーズに行うことができます。同じインシデントの再発を防ぎ、ITサービスの品質向上と運用効率化につながります。
問題の検出から解決までのプロセスを標準化し、効率的に対応できます。標準化されたワークフローにより、各ステップでの役割や手順が明確化され、対応漏れや重複作業を防止します。進捗状況が可視化されるので、関係者間での連携が円滑になり、迅速かつ効果的な問題解決が実現します。
問題に関する情報を一元的に管理でき、チーム間での情報共有が円滑になります。問題の詳細や発生履歴、進捗状況、対応策などを一箇所に集約することで、関係者全員が最新情報にアクセスでき、無駄な重複作業や連携ミスを防止できます。また、過去のデータを活用した分析や再発防止策の検討も容易になり、効率的で効果的な問題解決につながります。
過去の問題とその解決策をナレッジベースとして蓄積、参照することで、類似の問題が発生した際に迅速かつ的確な対応ができるようになります。担当者は過去の事例をもとに原因を特定しやすくなり、対応時間の短縮やサービス停止時間の最小化につながります。また、ナレッジの共有によりチーム全体のスキル向上も期待でき、ITサービス運用の効率化と品質向上に貢献します。
レポーティング機能も効果的な機能です。問題の発生傾向や対応状況を可視化できます。頻発する問題や対応に時間がかかっている箇所を特定し、優先的に改善策を講じることができます。また、レポートを通じてチームや経営層と情報を共有することで、継続的な改善活動を促進し、ITサービスの品質向上や運用効率化に役立てられます。
以下に問題管理のワークフローの例を紹介します。問題管理ツールを利用することで問題管理のワークフローを簡単に構築することができます。
参照元:Atlassian公式サイト(https://www.atlassian.com/ja/itsm/problem-management)
インシデントが発生すると、システム管理者やIT運用担当者は早急にサービスを復旧させなければいけません。そのためには、問題管理を適切に行い、根本的・潜在的な原因を特定し解決するプロセスを整備することが重要です。インシデントを防ぎ、繰り返さないためには、インシデント管理と問題管理を統合し、原因の追究やナレッジの蓄積・活用を徹底することが欠かせません。インシデント管理と問題管理を適切に行う簡単な方法は、ツールの活用です。問題管理に課題を感じている担当者は、専用ツールの活用も視野に入れ、効率的な解決策の検討を進めましょう。
下記では、自社にあわせてカスタマイズできるおすすめのITSMツールを3つ紹介しています。問題管理の仕組みづくりの参考にしてください。
2023年11月1日時点、「ITSM ツール」のGoogle検索で10ページ目までに表示されたITSMツール54つを調査。
54ツールの中で必須機能がある(インシデント管理、問題管理、変更管理、リリース管理、資産管理)、カスタマイズが可能なツールを抽出し、「導入後のサポート重視」「コスト重視」「セキュリティ重視」の3ツールを選定。
引用元:ServiceDesk Plus公式サイト(https://www.manageengine.jp/products/ServiceDesk_Plus/)
ISO / IEC 27001ほか、 ISO/IEC 27701、ISO / IEC 27017、SO/IEC27018、ISO9001、ISO20000、SOC2/1など
国内にデータセンターがある
ノーコードで構築・カスタマイズでき、シンプルな管理画面で使いやすい。低価格からインシデント管理を始められる。
導入時、導入後も充実したサポートを受けられる。
アイペット損害保険株式会社、東京海上アシスタンス株式会社、PayPayカード株式会社、日揮ホールディングス株式会社、 国立大学法人静岡大学、レオス・キャピタルワークス株式会社
ゾーホージャパン株式会社
(本社:インド)
本社:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-6-1 みなとみらいセンタービル13F
引用元:Splunk公式サイト(https://www.splunk.com/ja_jp)
ISO / IEC 27001ほか FedRAMP、SOC2などの認証を受けている
SlackやMicrosoft Teamsを利用してビデオ会議をセットアップ、コラボレーションを促す機能がある。
モバイルアプリでも利用できる。
※日本企業の公表なし
Nextiva、ISS World、Canva、Infobip、Toast、Twitter
Atlassian(本社:オーストラリア)
日本:アトラシアン株式会社
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1 ランドマークタワー1407
引用元:4me®公式サイト(https://www.4me.com/)
公式サイトに記載なし
AI・ビッグデータ活用などのテクノロジーを実用レベルで実装。AIが解決法を自動提案してくれる。
機能拡張やオプションは不要。
※日本企業の公表なし
※公式サイトにSMAXの事例なし
MicroFocus
(本社:イギリス/アメリカ)
日本:マイクロフォーカスエンタープライズ株式会社
日本オフィス:東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー19階
ISO / IEC 27001ほか、 ISO/IEC 27701、ISO / IEC 27017、SO/IEC27018、ISO9001、ISO20000、SOC2/1など
国内にデータセンターがある
ノーコードで構築・カスタマイズでき、シンプルな管理画面で使いやすい。低価格からインシデント管理を始められる。
導入時、導入後も充実したサポートを受けられる。
アイペット損害保険株式会社、東京海上アシスタンス株式会社、PayPayカード株式会社、日揮ホールディングス株式会社、 国立大学法人静岡大学、レオス・キャピタルワークス株式会社
※「ServiceDesk Plus」…クラウド版はPinkVERIFY™ 4、オンプレミス版はPinkVERIFY™ 3の認証を取得しています。
このサイトでは、「ITSM ツール」でGoogle検索、12月22日時点で上位100位までに公式サイトが表示された製品を紹介しています。そのうち、サービスデスク/ヘルプデスク(インシデント管理)をメインとしたITSMツールで、無料トライアルのできる3製品を紹介しています。
引用元:Re:lation公式サイト(https://ingage.jp/relation)
ISO27001取得
メール・LINE・電話など10種の窓口をまとめて管理。高いユーザビリティと視認性ダッシュボードで分析・レポート、見える化されることで業務改善につなげる。
大企業向けのRe:lation for Bizあり。
弁護士ドットコム株式会社、エムオーツーリスト株式会社、株式会社Birdman、日本通運株式会社、株式会社イングリウッド、株式会社Loco Partners
株式会社インゲージ
所在地:東京都新宿区西新宿3-9-7 フロンティア新宿タワー
引用元:My Redmine公式サイト(https://hosting.redmine.jp/)
要問合せ
プロジェクト管理・タスク管理のオープンソース「Redmine」のクラウドで利用できるサービス。
CSSとJavaScriptを埋め込んで画面をカスタマイズ。
チケット登録用メールアドレスにメールを送ることでRedmineにチケットを登録。
株式会社ネットワーク応用通信研究所、株式会社ノーリツ、株式会社イシダテック、丸紅ITソリューションズ株式会社、ハイウエア株式会社、アーティサン株式会社
ファーエンドテクノロジー株式会社
所在地:島根県松江市朝日町498番地 松江センタービル
引用元:Zendesk公式サイト(https://www.zendesk.co.jp/)
要問合せ
顧客が好むチャネルに対応
カスタマーサポートのパフォーマンスを可視化し、レポーティング機能で、担当者のサポート業務を効率化
既存のビジネスシステムともコーディングなしで簡単に統合、カスタマイズも自由自在。
東京電力エナジーパートナー株式会社、株式会社佐賀銀行、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社アダストリア、立命館大学、株式会社学研プロダクツサポート
株式会社インゲージ
所在地:東京都新宿区西新宿3-9-7 フロンティア新宿タワー
ISO27001取得
要問合せ
要問合せ
メール・LINE・電話など10種の窓口をまとめて管理。高いユーザビリティと視認性ダッシュボードで分析・レポート、見える化されることで業務改善につなげる。
大企業向けのRe:lation for Bizあり。
プロジェクト管理・タスク管理のオープンソース「Redmine」のクラウドで利用できるサービス。
CSSとJavaScriptを埋め込んで画面をカスタマイズ。
チケット登録用メールアドレスにメールを送ることでRedmineにチケットを登録。
顧客が好むチャネルに対応
カスタマーサポートのパフォーマンスを可視化し、レポーティング機能で、担当者のサポート業務を効率化
既存のビジネスシステムともコーディングなしで簡単に統合、カスタマイズも自由自在。
弁護士ドットコム株式会社、エムオーツーリスト株式会社、株式会社Birdman、日本通運株式会社、株式会社イングリウッド、株式会社Loco Partners
株式会社ネットワーク応用通信研究所、株式会社ノーリツ、株式会社イシダテック、丸紅ITソリューションズ株式会社、ハイウエア株式会社、アーティサン株式会社
東京電力エナジーパートナー株式会社、株式会社佐賀銀行、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社アダストリア、立命館大学、株式会社学研プロダクツサポート
株式会社インゲージ
所在地:東京都新宿区西新宿3-9-7 フロンティア新宿タワー
ファーエンドテクノロジー株式会社
所在地:島根県松江市朝日町498番地 松江センタービル
株式会社インゲージ
所在地:東京都新宿区西新宿3-9-7 フロンティア新宿タワー