必要な要件を備えているか

ITシステム管理者の皆さん、ITSMツールの導入を検討する際に、どのタイプを選ぶべきか悩んでいませんか？オールインワンタイプや機能特化タイプなど、ITSMツールにはさまざまな種類があり、どれが自社に最適なのかを見極めるのは骨が折れる作業です。

オールインワンタイプのツールは、ITサービス管理に必要な機能を幅広くカバーしており、最小限の要件から始めてアジャイル的に拡張できます。一方、特定の機能に特化したタイプは、特定の課題に集中して効率的に解決できますが、導入コストや重複機能に注意が必要です。

この記事では、ITSMツールに必要な具体的な機能や要件について解説しいます。自社に合ったITSMツールを選ぶための参考にしてください。

ITSMツールの違い

オールインワンタイプ

オールインワンタイプはITSMに必要な機能をほとんど搭載しているツールです。ITIL®準拠のITSMツールが市場に出始めた頃は企業に合わせて細かくカスタマイズできるオンプレミスのエンタープライズが主流でしたが、最近はSaaSで利用できるクラウドタイプも増えています。

長期的にアジャイル的な考えで改善・拡張していきたい場合は、オールインワンタイプを最小要件でスモールスタートする方法もあります。
※アジャイルとは短い開発期間単位にプロジェクトを分けてソフトウェア開発を柔軟に進めていく手法でITIL®4ではアジャイルプロジェクトマネジメント・フレームワーク「PRINCE2 Agile®」を参照しています。

機能特化タイプ

機能特化タイプには問題管理、インシデント管理、構成管理を効率化するチケットシステム、対応履歴管理に活用するFAQツール、サービスデスクの受付対応を効率化するチャットボットなどがあります。順次導入していくなら特化型が効率的ですが、導入コストがかかり機能重複が生じることもあります。

ITSMツールに必要な機能・要件

多岐に渡るITサービスマネジメント（ITSM）を全て一度に実現するのは難しいです。まず人手に頼る属人的な運用をやめて、効果的・効率的にITサービスマネジメントを実現するためにITSMツールを導入する場合には次のような機能が必要となります。

業務プロセス管理・業務フロー管理

ITサービスマネジメントでは問題管理やインシデント管理などの業務プロセスを管理します。どんな案件が発生し、どんな状況になるのか、誰が担当者で今後の作業予定や作業履歴はどうなっているのかなど、業務の流れや状況状を把握します。そのためITSMツールには業務プロセス管理・業務フロー管理が必要です

ナレッジデータベース・文書データベース

ITサービスマネジメントでは資産管理DBや構成管理DBをナレッジデータベースとして一元管理し、サービスデスクからのFAQなども回答率アップのためにナレッジデータベース化します。そのためITSMツールには業務プロセスから参照や更新をしやすいナレッジ管理機能が必要です。

カスタマイズ性・柔軟性

業務プロセスやナレッジデータベースは、ITサービスマネジメントを実現する組織に合わせた柔軟なカスタマイズが必要です。そのためITSMツールにはプロセスやナレッジデータベースへの柔軟なカスタマイズ機能が必要です。

システム・データ連携

企業には今まで蓄積してきたナレッジ、データ、ツールなどもあります。そのためITSMツールには既存データやツールとの連携機能も必要となります。

ITSMツールによる課題解決例

自社の目的や課題解決に対しITSMツールにはどのような機能が必要となるのでしょうか？以下にいくつかの課題解決例を紹介します。

問い合わせ対応の遅れや漏れが発生している

利用者からの問い合わせの優先度付け、担当者割り当ての自動化などインシデント管理機能があるツールの導入で対応の遅延や漏れを防ぐことができます。

同じ内容の問い合わせに都度回答している

同じような内容の問い合わせが頻繁にあるような場合、ITサービス利用者向けにFAQを公開できるナレッジ管理、問い合わせ回答の定型文を用意して引用できるインシデント管理機能のテンプレートを利用することで作業効率を改善できます。

ITサービスの変更履歴が記録されていない

ITサービスの変更履歴が記録されていない、変更の承認プロセスが標準化されていない場合、どのITサービスを誰が、いつ変更したのかがわからなくなり新たなインシデント発生の原因になります。問題管理からの変更要件起票、変更承認者への変更依頼メール自動送付などの変更管理機能があるツールを導入すれば、変更管理作業を効率化できます。

ITSMツールにはオールインワンタイプと機能に特化したタイプがあります。ITSMツールを導入する場合には、自社に必要な機能が搭載されているか、どんな課題を解決したいのかなど、しっかり見極めて選ぶようにしましょう。